眼瞼下垂症
まぶたを上げにくくなることで、目を十分に開くことができない症状を眼瞼下垂症と言います。目が開けにくいというのは、それだけまぶたが重いことでもあるので、日常的に疲れを感じるようにもなり、近年では肩こりや頭痛との関連性も指摘されています。
症状については、まぶたが黒目の上部にかかっている軽度の症状から、黒目のほとんどが隠れてしまう重度の症状まで、患者様により重症度は様々です。必ずしも両目に起こるわけではなく、片側の目だけの方もいらっしゃいます。
なお眼瞼下垂は、大きく先天性のものか、後天性のものかに分類されます。後天性には、加齢による老人性眼瞼下垂のほか、白内障手術などの眼科手術後のものや、コンタクトレンズの長期装用などで起こるもの、動眼神経麻痺などの神経疾患や外傷、まぶたのできものによるものなどがあります。先天性は生まれつきのもので、眼球の動きに異常がない眼瞼下垂が9割以上といわれています。
- 治療について
- 眼瞼下垂症の治療は手術になります。主に行われる術式は挙筋前転法とよばれるもので、まぶたの皮膚を切開して、ゆるんだ眼瞼挙筋腱膜を縫い縮めることでまぶたを開きやすくするという内容になります。
- 手術は局所麻酔下で行い、両目の場合は同日に行います。個人差はありますが手術後2週間ほど、まぶたの皮下出血や腫れが見られる場合があります。そのため、ご希望に応じて、入院での手術にも対応しております。
睫毛内反症(逆さまつ毛)
睫毛内反とは、まつ毛が黒目に触れ、傷をつけたり炎症を起こしてしまう状態です。
加齢のためにまぶたの皮膚がたるみ、まぶたを支える組織がゆるむことで徐々にまつ毛が皮膚におされて黒目に当たるようになる場合が多く、ほかにもまつ毛の生える向きに問題がある場合や、生まれつきまぶたが腫れぼったく、まつ毛を支持できずに生じる場合があります。
- 治療について
- 局所麻酔をした後にまぶたの余分な皮膚を切り取り、まぶたの向きをかえるように細工する手術を行います。症状が軽い方では、皮膚を切らずに糸で固定する埋没法で改善する場合があります。
眼瞼外反症
まぶたが外側にめくれている状態を眼瞼外反症と言います。
下まぶたが弛んでいることから、あっかんべーをしているような状態に見えます。このように下まぶたの赤い結膜が露出して外気に触れることから、流涙、乾燥、充血、角膜障害、痛みや違和感といった症状が現れます。
このような症状を発症する原因としては、加齢によりまぶたを支える組織が弛緩する場合や、顔面神経麻痺などにより眼輪筋の緊張が低下することが考えられます。このほか、やけどや外傷による瘢痕により起こることもあります。
- 治療について
- 原因に応じた外科的手術が必要になります。手術には、まぶたの一部を切り取り、短縮する方法や、下まぶたに皮膚や軟骨などを他から移植する方法があります。そのほかにも、点眼薬を度々使用して、角膜や結膜の乾燥も防ぐようにします。